少し前に書いたのですが、ここのところVtuberに興味があって色々見てしまっています。
そして今日ちょっと感動してしまった動画があったのでそれについて書いてみます。
その動画は、以下の2つとなります。
まあ正直に言うと、見たのは上の動画のきりぬきと呼ばれるやつだったのですが、ここは元動画を貼るべきだろうなと思いましたので。
一人の不登校児が勉強の面白さに気づく話
僕は過分にして知らなかったのですが、これら動画は結構有名なようで、詳細な説明や感想を綴っているブログなんかもあるようです。ので詳しくはそちらを見た方が絶対に良いので、ここではサラッとどのような動画だったかを書いていきます。
上の動画は、教師役であるグウェル氏が、生徒役であるりりむさんに積分が解けるように教えていく、という動画です。
下の動画は、上の動画で積分が解けるようになったりりむさんが、その復習をしている配信となります。
もう少しだけ細かく、そして何が感動したかというと、このりりむさんという方は不登校だったらしくまともに教育を受けておらず、積分どころかもっと基本の知識も無かったのですが、それを投げ出さずにグウェル氏が粘り強く授業をして、ついにはりりむさんが勉強を面白いといい、自主的に復習動画を出す、という流れがあまりに素晴らしかったからです。
教師役のグウェル氏の素晴らしさ
この動画を見ていてわかるのが、教師役であるグウェル・オス・ガール氏の授業の素晴らしさです。
いえ、もっと知識に溢れている優秀な教師はいくらでもいるのかもしれませんが、積分を教える前に微分、を教える前に〜〜と遡っていき、ついには方程式につかわれるxとは何か、という所から話を初め、そこから実に八時間も根気よく生徒に合わせた授業をすることができる人がどれだけいるのか、という事です。
彼は動画の中で、「これはこういうものだと思ってください」というような、ルールの押し付けはしませんでした。
「どんな数でも0乗にすれば1となる」という説明の時にそういう説明をしかけましたが、思い直して「どのような教え方が良いだろう」とググって調べて、ついにはりりむさんが納得し理解するまでの説明をしていました。
この「生徒に押し付けない」という姿勢があまりにも素晴らしいなと思ってしまいました。
この姿勢については動画の最初に述べられている言葉に全てが詰め込まれている気がします。
動画の初めの方で、「y=x^2 + x + 5」という方程式について説明しようとした際に、りりむさんに「xがわからない。yもわからない。あと、xの後についている小さい2もわからない」と言った際に、「そこから説明しなくちゃダメなのか」ではなく、素晴らしいと称賛し「何がわからないかをハッキリ言ってくれるりりむさんはとても素晴らしい生徒です」と褒め称え、場合によっては「わからない」というアラートを上げてくれたことについて感謝します、という言葉と述べています。
この姿勢は、実に素晴らしく、見習いたいものだと心底思いました。
実際の学校や塾の先生だった場合には、テストの範囲を終わらせなければならないなどの理由から一人の生徒にそこまで時間と労力をかけられないので、今回はレアケースではあるのでしょう。
ですが、こうした教育の姿勢を見せてくれただけでも、素晴らしいと称賛したくなりました。
勉強の面白さに気づく素晴らしさ
さて上では教師役のグウェル氏の素晴らしさについて書きましたが、彼について思うことは「素晴らしい授業だったな」というだけで、感動にまでは至っていませんでした。
それよりも何よりも私が感動してしまったのは、生徒役のりりむさんの変化でした。
私は彼女の事はこれら動画で初めて見たので、ほぼ何も知らないと言っても良い状態です。
断片的にわかるのは「不登校であった」、「学力は高くない」、「しかし地頭は良さそうだ」程度でした。
Vtuberという職業にどういう経緯でついたのかは知りませんので、「ゲームをする」「歌を歌う」「雑談する」といったVtuberがよくやっているような事からかけ離れた「勉強をする」という動画にどれほどのモチベーションで臨めたのかは、全く想像ができません。
あるいは「事務所から言われた仕事だから仕方なく」だったのかもしれませんし、「元々勉強に興味があった」のかもしれません。
しかしいずれにせよ、慣れtない勉強を八時間かけて受けて、それで最終目標である積分をちゃんと解いてみせた、というのは生半可の集中力ではないと思いますし、これを成し遂げる事ができただけでも感動に値するとは思います。
しかしそれよりも感動したのは、彼女が「勉強の面白さ」に気づいた点でした。
最初は方程式のxが何かもわからなかったのに、勉強のステップを進めていくうちに教師役のグウェル氏が「やばい、教えていなかったな」と思った部分さえ、自分で考えて正解を導いていたりしていました。
そして「計算がおもしろい」、「こういうやり方でもできるんだ」と、習得した知識のつながりに目を輝かせている様が伝わってきました。
そしてそれが嘘ではなく、心底面白いと思っているのだと伝わってくるのが、上にはった「復習動画」でした。
正直、ただの配信として見るならば面白いものではありませんでした。というのもただ延々と積分の問題を解いていくだけだからです。
しかし、元々全然勉強ができなかった彼女が、自主的にこの動画を出そうとした事自体が「勉強が面白い」と心底思ってくれた証拠ではないかと思うと、胸が震えるものがあります。
実際、彼女は動画の中でも勉強が面白いと思っていると何度も口にし、そして更にその「勉強は面白い」という事を他の人にも伝えようとしていました。
もう一度いいますが、私は彼女の事をほぼ何も知りません。しかし彼女が本当に「勉強が面白い」と思っているのだと実感すると、胸にくるものがありました。
直接教えたグウェル氏ならば「教師冥利につきる」と表現できるのでしょうが、全く関係のない私としてはその単語は使えません。しかし恐らく方向性としては同種の感情なのではないかと思いました。グウェル氏が感じたそれには足元にも及ばないのかもしれませんが、それでもこれまでまともに勉強してこなかったであろう彼女が目を輝かせて「勉強は面白い」といっている姿には、言葉にならない感動を覚えずにはいられませんでした。
ちなみにですが、全く別の配信者の方の動画で語られていたのですが、その配信者がりりむさんに連絡をとったところ「いま積分の計算をしているから」と言われて待つことにしたところ、かなり待たされてしまった、と笑い話にしていました。
配信外での計算をやっていたということであり、つまり「配信だからやっている」ではなく、心底面白いと思っているのだなぁと思うだけで、なんというか、感慨深いとか思ってしまいました。
物理動画もありました
ちなみに積分動画ではなく、物理についての授業動画もありました。
物理とは言っていますが、グウェル氏は積分が絡むような授業内容にして、更にりりむさんもそれに気づき、「習ったことがまた出る、役に立つ」という知識が点でなく線で繋がるという実感を感じさせていました。
これもまたグウェル氏のセレクトの妙であり、素晴らしいと思いました。
この動画の中でも発揮されていたのですが、りりむさんが頭が良いなと思ったのは、素直に教えられた事を吸収した上で、その延長線上のことまで自分の頭で考えられていたことでした。
たとえば速さと時間と距離の関係についての計算を、「公式を使うより、前回習った積分を使う方がわかりやすい」と言える感覚を身につけていたり。
習っていない三角形の面積の求め方を出してみたり。
数学の動画でも苦労して微分について学んだ上で公式を知った後、「でも普通の高校生はこの公式しか知らない」と言われて「じゃあ皆んなはスカスカの微分をしているんだ」と言えるセンスはすごいとおもいました。
これらもまた「勉強は面白い」と彼女が心底思っているのだろうなという証左だと思えます。
Vtuber侮れないわ
Vtuberを見始めてまだまだ初心者の私ですが、「いやー、Vtuber侮れないわ〜」と心底思ってしまいましたね。
なんというかキャラクターを被せていつつも、結局は「一人の人間を魅せる」ということにチャレンジしているのだなと。
それはもしかしたらTVのアイドルなどの芸能人と同じなのかもしれませんが、それよりもダイレクトに伝わる文、エンタメとしてもVtuberが凌駕する可能性があるのかもしれないとすら感じてしまいました。
これまでYoutuberの動画を見ていて「面白い」と思った事はあっても感動したことはなかったので、ますますVtuberに興味が湧いた一幕ではありました。
まただまだ面白い動画があるのか、生まれていくのか。
非常に楽しみですね。