子供のころ、家にあった味の素は私にとってちょっと不思議な存在でした。
というのも同じ白い粒であるところの塩や砂糖は舐めれば塩っぱかったり甘かったりで、何かにかければその味を加えてくれるだろうなというのが実にわかりやすかったというのに、味の素は舐めてみれば嫌な感じに甘く、かけても劇的な変化は感じられませんでした。
一方、多分私は化学調味料という単語を初めて聞いた、もしくは初めて意識したのは、美味しんぼだったと思います。
細かい話の内容は忘れましたが、基本的に化学調味料は悪役とされ、自然の素材から出汁をとって旨味たっぷりにしたほうが良い、的な流れがあったかと思います。
で、あまりにも悪役だったので私の中で味の素とイメージが重ならず、後で同じものを指していると知った時には驚いたものです。
悪役にされてしまったけれど。。。
さてそんな味の素ですが、そんなに悪いものを使っているのかとふと原材料を見てみると、サトウキビからグルタミン酸ナトリウムを取り出しているだけでした。
なのでますます混乱します。
「え、グルタミン酸といえば、イノシン酸と並んで、旨味成分の一つじゃないか。それだけで構成されているのに悪者ってなんでだ?」と。
そりゃ使いすぎはダメです。
でも味の素を沢山使いすぎて「旨味が平坦だし、舌が痺れてくる!」なんてのたまうのは、「塩を入れすぎたらしょっぱくなりすぎたじゃないか!」とか「砂糖をかけすぎたら甘すぎて食べてられない!」というのと全く同じで、論ずるに値しないのではないでしょうか。
ちゃんと適正に使えば良いものを大量に使って見せて批判するのは、流石にフェアじゃないな、と。
というわけで個人的には味の素が悪役というのは、偏ったというよりも歪んだ認識なのだなと思いました。
コンソメとかは類似製品では?
それに正直、もしこういった「簡単に旨味をつけることができるものは邪道だ」まで行くのだったら、顆粒出汁やコンソメだってもっと悪役にされて然るべきではないでしょうか。
しかしそれら二つは手軽に美味しいものが食べられるというイメージはあるものの、化学調味料という名前がもつ体に悪そうなイメージはそこまでありません。
使い方がそれらに比べて量の見極めとかが難しい、とかが理由なのでしょうか。
それとも美味しんぼが化学調味料にやったように、悪役扱いするメディアとかがなかったからなのでしょうか。
いや、美味しんぼは「ちゃんと素材の味を〜」と言って批判してても不思議ではないかもしれませんが。
なんで悪役?
美味しんぼで批判していたのは上でダメだと言った「使いすぎ」な店が多かったからだ、という時代背景がもしかしたらあるのかもしれません。(すいません、時代背景まではわかりません。。)
ちなみに化学調味料という名前は、商品名を出す訳には行かなかったNHKが思い付いた
別名として、当時は万能でポジティブなイメージがあった「化学」という言葉を用いたのが始まりいうのが、NHKのTVで紹介されていたのを見たような記憶があります。
で、命名当時はともかくとしてしばらくするとその「化学」にあまり良くないイメージが残ったにもかかわらず、化学調味料という単語だけは残ってしまったと。
そうなると戦犯はNHKな気がしてきますね。
これから先
私はYoutubeとかで料理系動画を見てたりするのですが、それらだと味の素推しだったりします。
どちらも味の素を使うのにとても積極的です。(使っている頻度はリュウジさんのほうが多いかな?)
ここから思うのは、「味の素=化学調味料で、ケミカルな感じで使わないほうが良いもの」というのは、古い考え方に縛られた老害的な発想であり、これからは適切に上手に利用していくのがかっこいいという時代ではなかろうか、と思いました。
私個人は別に味の素を激推しするわけではないのですが、本来は昆布などを使って上手に引き出してヤラなけばならない旨みを、手軽にしかも余計な構成要素(匂い、塩味、などなど)なくグルタミン酸だけを追加できるなんて、実はとても便利なのではないかと思っており、使いこなせるようになりたいなとは思っているのでした。