小説家になろうをちょこちょこ読んでいますというような事をこの間書いた気がしますが、その際は玉石混交なんて言い方をしましたが、実際の質はというと一般に出版されているものと比べると、言って仕舞えば「低い」のが多いのが現実です。
というかそんなのは当たり前の話で、片や素人が書き散らしているものも多いものと、片や少なくともその業界で飯を食っているプロが「これはいける」と判断したものを誤字脱字表現といったものを修正しつつ出しているものなのだから、これで質に差が出ないわけがない訳で。
むしろ差が出なかったら出版社は何をしているんだろうかという話になります。
で、その「質が低い」と言ってしまった「なろう」ですが、ですが逆にそれが参加ハードルを下げてくれて、沢山の書き手が参入した結果、その中から光るものが取り出されて出版されアニメになり、みたいな流れがあるのもまた事実です。
そう、別に「質が低い」とは言いましたが、それは別に悪いとは思いません。あれで結構弱肉強食と言いますか本当に拙い作品は淘汰されていくようなので、私なんかが見るのは結構上澄みの方なんじゃないかと思っています。
ですがそれはそれとして、「これはやめて欲しいな」と思うものもありますので、それについて書こうと思います。
個人の好みとか、文章力がどうだとかという話ではなくて、単純に読みづらいのでやめて欲しいな、という話です。
簡単に言いますと、「人物不明な一人称」はやめてほしいな、と。
そもそも一人称って
今更改めていうことじゃないですが、小説の一人称とは、三人称だと「彼はそう思った」と地の文に書くところを「私はそう思った」と書いたりするやつですね。
物語を神の視点から描くのではなく、登場人物の一人である主人公の目を通して話者のごとく綴っていくタイプ。
「なろう」では多いようですが、まあ三人称に比べると書きやすいらしいので、それが多いことは問題ないと思います。
ですが、それは話者がハッキリしている場合に限ります。
時々変わる話者
物語の途中で主人公以外の視点から描写をしたいと思った場合に、違うキャラが話者になっての一人称になることがあります。
が、その際に「AAA side」というように視点が変わったことを示すとかがあれば良いのですが、なんの説明もなく唐突に別キャラ視点になることが結構あったりするのです。
断りもなく唐突に始まるので、初めは話者が変わったことに気づかずに主人公視点なのだなという理解のまま読み進めます。
が、読んでいると辻褄が合わないところが出てきて、よもやと思ってよく読んでみると別キャラだった、ということが、これがまあ、よくありました。
そうなると必死にこれまでの描写と今回の描写とで整合性を取ろうとしていたのが一気に崩壊し、物語が訳がわからなくなります。読み返しが必要になったり。
なのでそれはやめてほしいな、と。
漫画の影響?
多分なのですが、筆者の頭の中では問題ないから書いてしまうのだと思います。
昔ラノベとは漫画を小説の形にしたものだ、みたいな話がありました。つまりビジュアルイメージがはっきりしていたり、漫画的な表現を取り入れたりと言った具合ですね。
で、漫画にも一人称描写ってのはありますし、エピソードによってどころか一つの話の中でたくさんのキャラの思考が描かれたりする場合もあります。
でもその際には勿論ですが「絵」という補助がありますから、誰が何を考えているかがわかります。
しかし、文字情報しか無いので、そうした絵の情報の補助がないため、とても読みづらい、という当たり前のことが起きているのではないか、と。
一言で言ってしまえば文章力の問題と言えるのですが、最初に言った通り文章力にしろ「質が低い」のは当然のこととして受け入れはします。
が、この断りもない視点変更だけはやめてほしいなというのが私が「なろう」を読んでいて常々思っている事なのでした。
他は受け入れられますので
もちろん、個人の好みを言ってしまえば他にも不満点はあります。
やたら「閑話休題」を連発したり、毎回「時は少し遡る」から話を始めていたり、話の最後に何故か必ず登場人物が「それを聞きながら気を失っていくのだった」みたいに気絶したり、関連がないキャラなのに「アレン」「アレク」「アラン」みたいな誤読を狙っているしか思えない名前のキャラがいたり。
まあそう言ったことは気になりはするのですが、結局は「文章力」の一言にまとまってしまいますし、文章力については私も人のことは言えないと思っているので、そこまで問題ではないと思っています。
しかし今回書いた誰視点かわからない一人称だけはなんとかならないものかなぁとか思ってます。
ちなみに「なろう」だとタグがありますが、そこに「まったり」とか「ほのぼの」とかがついていると「プロットがしっかりしたストーリー系じゃないのだろうな」と思って「not for me」と理解していたのですが、実際のところどうなんでしょうね。